”地域の保健室”としての薬局のあり方
- harunakawakami
- 7月15日
- 読了時間: 7分
FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」2025年7月15日(火)の放送は「”地域の保健室”としての薬局のあり方」について、合同会社PORTO うらしま薬局石川ピーナッツ店 店長/薬局事業部長/薬剤師 仲西 定佑さんと在宅推進部長/保健師/看護師/調理師 平井雅高さんをお招きしてディスカッションをしました。

テーマ:うらしま薬局について
MC久高「では早速ですが、うらしま薬局が石川に「ピーナッツ店」をオープンされた経緯について教えていただけますか?」
仲西さん「元々は読谷村長浜で1店舗を運営していました。そんな中で、石川医院の石川ドクターと繋がる機会がありまして、その病院の目の前にあった「ピーナッツ薬局」という薬局が急遽閉局することになったのです。
そのピーナッツ薬局は、もともと管理薬剤師の先生が地域の方々に非常に愛されていた方でした。そこで、その先生の思いや薬局の意思を引き継ぎたいと考え、『ピーナッツ』という名前を残し、『うらしま薬局 石川ピーナッツ店』として運営させていただくことになりました。」
インタビュアー小川「素敵なお話ですね。先代の方の思いを繋ぎながら、地域の方々に馴染みのあった『ピーナッツ薬局』という名前を引き継ぐというのは、とても素晴らしいことだと思います!」
MC久高「『地域の保健室』としてありたい、というコンセプトを掲げていらっしゃいますね。」
仲西さん「はい、まさに学校の『保健室』のような存在を目指しています。少し体調が悪い時や、誰かとちょっとおしゃべりをしたい時に気軽に立ち寄れる、そんな場所でありたいです。患者様としてだけでなく、地域の住民の方がふらっと足を運んで、お茶でも飲みながらお話ができるような空間にしたいと思っています。」
インタビュアー小川「なんか『保健室』っていう響きがいいですよね!」
MC久高「とってもいい!親しみやすいし、ドアを開けたくなる!」
仲西さん「薬局にいるのは薬剤師だけではありません。私たちの薬局では事務の方を『パートナー』と呼んでいるのですが、そのパートナーさんの支えがあってこそ運営ができています。薬剤師に会いに来るだけでなく、パートナーさんに会いに来る、そんな形でも大歓迎です。スタッフ全員で薬局を運営しています。」
MC久高「私とても気になったのが、忙しいかなと思って(笑)。平井さんは、在宅推進部長であり、保健師、看護師、調理師でもあるというマルチプレイヤーですよね!」
平井さん「自分では特に意識していませんが、来てくださった方とおしゃべりをしたり、「お薬を届けて」と言われればお届けしたり。読谷の店舗と合わせて2店舗分、何でもやっています。何をやっているかいつも分からないですね(笑)」
テーマ:うらしま薬局のコンセプトについて
MC久高「うらしま薬局のコンセプトはどんなものですか?」
仲西さん「私たちは薬だけでなく、空間づくりにも力を入れています。店舗に来ていただければ分かるのですが、香りや見た目からリラックスできる空間を目指しています。常にアロマを焚いていて、お客様の気分や状況に合わせて香りも変えているんです!」
インタビュアー小川「薬局で香りというのは初めて聞きました!」
仲西さん「香り選びも重要です。一つエピソードがありまして、以前私がアロマを焚いていた時に、平井が看護師の視点から「妊婦さんにはこの香りはあまり良くないかもしれない」という専門的なご意見とご指摘をいただきました。」
平井さん「その当時ちょうど妊婦さんが働いていて常に香りを嗅ぐような状況だったんです。たまたま知っていて活かすことができました。」
MC久高「めちゃめちゃ心強いですね!」
仲西さん「平井が看護師であることは、在宅医療においても大きな強みです。現在、浦島薬局では在宅医療に力を入れており、薬剤師が患者様のご自宅に訪問する際に平井が同行することで、看護師の視点も加わり、より迅速で丁寧なサービスを提供できています。」

テーマ:この仕事に就いたきっかけ
MC久高「お二人がこの仕事をしようと思ったきっかけは何だったんですか?」
仲西さん「私の母が長年薬を服用しており、薬の良い面も悪い面も見てきました。一つの薬が持つ重み、そして人生を良い方向に変える力があることを学生時代から強く感じていました。少し遠回りはしましたが、それがきっかけで薬剤師を目指しました。」
MC久高「確かに副作用も作用ですもんね。そうやって薬について重く考えて、患者に寄り添ってこの人にはこれがいいなって分かる人に処方されるのってすごく安心して薬を飲むことができます!」
平井さん「私は小さい頃から「人のために生きなさい」と親に言われて育ちました。キャリアの最初は調理師で、その後スタントマンも少し経験しました。ヒーローショーなどで子供たちが喜ぶ姿を見るのが好きでしたね。その後、やはり医療の道に進みたいと思い、25歳で琉球大学の保健学科に入り、看護師の免許を29歳で取りました。
病院や役場で保健師として勤務し、訪問看護をしていた時に、コロナのワクチン事業でうらしま薬局と出会いました。その後、うらしま薬局が「これからの薬局は薬だけでは厳しい」と考え、高齢者向けの住宅事業を始める際に声をかけていただき、入社したという流れです。」
インタビュアー小川「すごい巡り合わせですね。」
MC久高「ここで富樫泰良に繋ぎたいと思います。今どこにいるの?」
MC富樫「今マレーシアに来ています。マレーシアでは、クリニックが24時間営業しているのが当たり前で、救急以外の医療体制も非常に整っていることに驚きました。日本の医療体制とはまた違う面白さがあります!」
MC久高「泰良にとって薬局はどんなイメージ?」
MC富樫「沖縄に来てから薬局のイメージが大きく変わりました。今までは「クリニックの後に行くのが面倒な場所」というイメージでしたが、今日のお話を聞いてそして、沖縄の薬局の方々とお仕事をする中で、どれだけ地域に根付き、ドクターや看護師がカバーできない部分を支えているかを知りました。薬局のイメージって関われば関わるほど変わりますよね。」
インタビュアー小川「そうですよね。今ってかかりつけ薬局というものがどんどん広がっているのでこれから色々な意味で医療や生活に関わることが増えてくると思っています。だからこそ患者さんにとって『保健室』っていうキーワードはすごく柔らかくていいですよね。」
MC富樫「薬局ってこんなに行きやすくて相談できる場なんだなと今日のお話を聞いてもっと多くの人に伝わるといいなと思いました!」
テーマ:うらしま薬局のこれからについて
MC久高「これから力を入れていきたいところはどんなところですか?」
仲西さん「うらしま薬局石川ピーナッツ店では、もう1名の薬剤師がケアマネージャーの資格も取得しており、「訪問薬剤師ステーション」としての機能を高めていきたいと考えています。外来対応と訪問対応をそれぞれ専門の薬剤師が担当することで、よりタイムリーで質の高い医療を提供できる体制を整えています。読谷の店舗とも連携し、広域で地域に愛される薬局を目指します!」
インタビュアー小川「すごいマルチプレイヤーの方々ばかりですね!『保健室』っていうキーワードは、地域の皆様には『保健室みたいに使ってくださいね』みたいな感じでお伝えしているんですか?」
仲西さん「具体的に『保健室』というワードは積極的には使っていないのが現状です。ただやっぱり薬局に入ってきていただくことによって、こういう空間なんだと感じ取ってもらって、『保健室みたいだな』と体感してもらうことが大切なのかなと思っています。今お話を聞いて、『保健室』というところをよりアピールしていってもいいのかなと考えていました。」
インタビュアー小川「病院に行くのはハードルが高いと感じる人にとって、まず相談できる「保健室」のような場所があるのは本当に心強いですね。」
平井さん「最近は公民館などにも出向いて、お薬に関するQ&Aセッションのような活動も始めています。決まったテーマで話すのではなく、集まった方々のお悩みを聞きながら、そこから話を広げていくスタイルです。こういった活動をどんどんやっていこうと思っています!」
MC久高「今後とも是非よろしくお願いいたします!」
MC富樫「お二人の存在そのものが『ぬちぐすい』だと思います、本当にありがとうございます!よろしくお願いいたします。」
毎週火曜日18時から19時、
MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!

インタビュアー小川 智也について
MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。
MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。
国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。
MRTサイト:https://medrt.co.jp/



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