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OKINAWA
FUTURE
INNOVATION

ハワイのウチナーンチュ4世が語る、島の健康と権利

  • harunakawakami
  • 6月10日
  • 読了時間: 6分

更新日:7月30日

FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」 2025年6月10日(火)の放送は「ハワイのウチナーンチュ4世が語る、島の健康と権利」について、ハワイのウチナーンチュ4世/県費留学生 ディラン ジョーン 保 神山 ピルジャーさんをお呼びしてディスカッションしました。


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テーマ:ディラン ジョーン 保 神山 ピルジャーさん(以下、保さん)の背景について


MC久高「保さん自身は主にどんなことを研究していますか?」


保さん「ハワイ大学で公衆衛生を勉強していました。

特にネイティブ・ハワイアンと先住民族の健康を学んでいました。」


桑江優稀乃さん「もっと詳しくネイティブ・ハワイアンについて教えて下さい」


保さん「ハワイの民族は『健康格差』があります。実はその背景に植民地の影響があります。研究では、健康格差の問題をどのように解決するのかについて考えています。ハワイの文化と言語も踏まえてハワイの民族がより健康になるために研究しています。」


桑江優稀乃さん「ハワイもネイティブと入ってきた植民者たちとの間に『健康格差』があるといだったけどアメリカからの影響があり食生活も変わっていっている点が似ている。ハワイもジャンクフードが増えていったりとか経済的にも貧困だったりして、とてもハワイと似ている部分があります。」


保さん「歴史もすごく似ています。ハワイは元々独立した国でしたが、アメリカが植民地化して言語や文化を禁止しました。この部分も沖縄と似ている部分があると感じています。沖縄もかつては琉球という独立した国でしたが、日本が併合して言語や文化・宗教が制限されました。」


MC久高「そもそもなんだけど、沖縄に来ようと思ったきっかけはなんだったの?」


保さん「もともと先祖は沖縄でした。また18歳からハワイの先住民族の運動に関して興味をもつようになり、色々な運動に参加するようになりました。勉強をしていく中でハワイの歴史が、沖縄や琉球の歴史と似ていることに気づき、徐々に沖縄に興味を持つようになりました。また公衆衛生プログラムの先生に自分の先祖について調べるように言われ、ハワイでは先祖をすごく大事にしていることが分かりました。その影響もあると思っています。」


MC久高「実際に沖縄に来てみて、沖縄の人の生活スタイルについてはどう思いますか?」


保さん「いいと思います。好きです!当初名護に住んでいて名桜大学で勉強していました。その際に公民館によく行ってうちなーぐち*¹をシージャ*²から教えてもらっていました。シージャはすごく優しい方ばかりで、外国人だけどウチナーンチュであるから認めていただけていたと思っています。」


MC久高「外国人っていう目では見ないよ。『よく帰ってきてくれたね』で嬉しいと思う。ましてや名護に来てくれているからね。」


テーマ:食べ物と土地の繋がりについて


MC久高「元々公衆衛生の勉強をされていたと思いますが、食べ物や土地の繋がりが心の健康や安心感に影響することはありますか?」


保さん「はい、そうです。このことはすごく大事だと思っています!今は伝統的な食べ物を食べる人は少なくなり、昔と比べて健康的ではなくなりました。」


MC久高「確実に沖縄も日本も昔食べていたものがすごく体によかったと言うもんね。小麦はやっぱり日本人には合ってないとか、、、。」


桑江優稀乃さん「沖縄の人も『アタイグヮー』*³と呼ばれる自分の庭で育てた野菜を食べることも健康に繋がっていたり、、、。」


MC久高「今はもうご先祖様にお供えするものもケンタッキーとかピザとかになっているし。みんなびっくりしていないかなって思っている。」


保さん「そこには『格差』が関係していると思われます。1970年代には沖縄の健康寿命が一番長かったのにも関わらず2022年には一番短くなっていました。なぜだろうと考えて、アメリカの基地がたくさんあることが影響していると思います。」


テーマ:ハワイと沖縄の共通の課題について


MC久高「保からみたハワイと沖縄の共通の課題って何だと思いますか?」


保さん「植民地の歴史と米軍基地の問題もあると思います。植民地の歴史によって伝統的な食べ物も言語も少なくなっています。その影響でみんな『恥』を持っている問題があると思います。ハワイでは1970年代に『ハワイアン・ルネッサンス』*⁴という運動が生まれたので、みんながハワイの文化に誇りを持つようになりました。沖縄はまだそのような運動は起きていないみたい。」


MC久高「そうだね。みんながみんな沖縄のことは好きで愛してはいるけれども、自分たちの伝統文化を誇りに持って絶対に守っていこうという強い姿勢はハワイに比べるとまだまだだと思う。」


保さん「同じではないけど、沖縄でも今後『ハワイアン・ルネッサンス』のような運動が出てくると思います。」


MC久高「保は将来沖縄やハワイでどんなことをしていきたいですか?」


保さん「実はハワイに帰った時に公衆衛生の『博士号』を取ろうと思っています。研究については沖縄でしたいと思っています。」


MC久高「じゃあまた沖縄来る!待っているからね!楽しみにしています。」



*¹うちなーぐち

「しまくとぅば」を直訳すると「島の言葉」で、その意味は、村落、島、故郷を表します。「しまくとぅば」は概ね、6つに分類され、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語に分かれています。「うちなーぐち」は沖縄語のことで、しまくとぅばの1つですが、「うちなーぐち」の中にも首里言葉、糸満言葉などがあり、これらも「しまくとぅば」に含まれます。

出典:那覇市インターネット相談窓口



*²シージャ

「親族語彙。年上。先輩。兄。姉。」

出典:読谷村しまくとぅば単語帳(https://yomitan-sonsi.jp/kana/sa/


*³アタイグヮー

「屋敷内の菜園」

出典:読谷村しまくとぅば単語帳(https://yomitan-sonsi.jp/kana/a/


*⁴ハワイアン・ルネッサンス

1970年代に盛んになったハワイ文化を取り戻そうとする復興運動。ネイティブ アメリカンや、同じポリネシア人であるニュージーランドのマオリの復権がそのきっかけになった。独自の言葉無くして文化は存続出来ないとの考えから、若者のハワイ語学習などが盛んになった。古代ポリネシアの天文航法を再現したホクレア号のタヒチへの航海成功にも触発された。

出典:ハワイ州観光局 ALOHA PROGRAM


毎週火曜日18時から19時、

MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!



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インタビュアー小川 智也について


MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。

国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。


MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。

国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。


MRTサイト:https://medrt.co.jp/


 
 
 

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