FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」 2024年5月14日(火)の放送は「インバウンドや観光活性化につながる医療について」について高山 義浩 さん(沖縄県立中部病院 感染症内科・地域ケア科 副部長 医師)横山 周平 さん(沖縄県立中部病院 医師)志良堂 猛史 さん (りゅうぎん総合研究所)をお呼びしてディスカッションしました。
テーマ:「沖縄の医療の特徴について」
先日の琉球新報では、うるま市で県内初の再生医療専用施設が6月に稼働するという記事が取り上げられていました。近年、医療ツーリズムやメディカルツーリズムという言葉もよく聞きますよね。医療ツーリズムとは、外国で治療や医療サービスを受けることを指します。外国では、タイやシンガポールが有名のようですね。一方で、足元では、観光客が怪我をしたときや、感染症への対応、また多言語での対応が課題になっています。まず、これまでの沖縄の観光の特徴や医療の特徴があれば教えてください。
高山さん「沖縄は閉じた小さな島であり、自己完結で医療を提供しなければならない、例えば軽井沢では重症者を東京まで運ぶことが可能だが、沖縄ではそれができない、ベッドの数や医師、看護師の数も限られている、プレッシャーはかなり大きいが、そのため責任感が強い医師が育つ」「観光客の増加に伴い、重症者や死亡者が出る可能性がある、言語の壁を超えてコミュニケーションを取る必要があるが、沖縄は英語が話せる医師が多い、中国語しか話せない患者には医療通訳や翻訳アプリを活用している」「また、宗教的な配慮も必要、亡くなった時の対応の仕方などは宗教によって異なり、知らずに処置してしまうと問題に発展することもある、例えばイスラム教徒の患者には入院中にハムを出してはいけないなど、配慮が必要」
横山さん「石垣島で東京からきた夫婦2人がダイビングをしていた際に、奥様が事故に合い亡くなってしまったことがある、もちろん救命にあたるがそういった際には、家族の心のケアも必要になってくる、きちんと寝れてますか?など声をかけてあげることも重要」「観光と医療は治療だけじゃ簡潔できない問題もある」
志良堂さん「産学官民の連携が必要で、企業や行政、学校だけでは対応が難しい、医療や介護の従事者が街づくりに関わる必要がある」「沖縄の観光は順調に推移しており、中国や台湾からの観光客が増加し、観光庁のランキングでは上位に位置している、しかしオーバーツーリズムと県民所得の低さが課題となり、観光客は多いが県民所得が上がっていないという現状がある」「観光の質を高めるためには、地域住民、外国人労働者のための環境整備が必要」
インタビュアー小川「オンラインでできることも多いですよね?日本に来る観光客とは逆に、日本から海外に行く方々もいる、海外のお薬など処方されて心配な方は、オンラインで繋いで日本の医師に健康相談することができる、海外の方も日本の知らないお薬は怖いかもしれない」
高山さん「海外で入院したことがありますが、みなさんに言いたいのは、お金が払えなければ何もできないため、旅行の際は絶対に海外旅行保険に入ってほしい!それは沖縄に来る人にもお願いしたい」「外務省や日本大使館のウェブサイトで、日本語で受診できる医療機関の一覧が掲載されている、受診したら現地のお医者さんを信じて、処方された薬をきちんと飲むことが大切です」
横山さん「コロナ禍では現場に部長が派遣されたりなど、病院に部長がいない時も多かった、しかしそんな中でも救急はきちんと回ってたんです、災害医療をどう克服するか、その場の迅速な判断などが重要で、それが人を育てる沖縄医療の特徴です、中部病院を出ていれば何でもできると言われるほど、研修医にとって重要な病院」「介護現場では、医療の知識がない中でコロナが広がり、大変な状況だった、介護施設に医師が行ってアドバイスをしたりしていたが、医師、看護師以上に介護の人が一番大変だったのではないか思います」
テーマ:「デジタル技術の活用について」
オンライン診療やアプリなどでも医療サービスにアクセスすることができる時代。沖縄で観光客に向けた医療体制や、医療ツーリズムへ体制整備を行う際にデジタル技術はどのように活用していけばよいのでしょうか。
MC富樫「離島や北部での怪我の対応が大変ですが、デジタル活用で解決できるかもしれないですね」
高山さん「今はオンラインで母国の主治医と連携できる時代、上海からの観光客がオンラインで主治医と連絡を取り、薬の調整や受診のアドバイスを受けることもあった、まずは母国の医師にアドバイスを受けてから日本の医師に受診することがベスト、PDFなどで送られた情報を自動翻訳で対応することができるので、オンラインを上手に活用して欲しい!」「近年は白内障手術などで日本に来てヘルスツーリズムを活用する観光客も増えているが、まずは自国の患者を大事にしなくてはならない」
志良堂さん「ヘルスツーリズムとは、自国よりも高い医療を受けに行くというイメージ、沖縄はまだ先進的な医療というわけではないため、自然や、食などとも組み合わせることが大事」
高山さん「自然の治癒力で地域のものを価値に変えていくことも大事、テクノロジーを使わなくてもできることがある、そのためには法律の改正や規制、意思判断の見直しが必要」
横山さん「食生活の変化が健康に影響を与えていて、肥満患者が沖縄で一番多いです、普段の食生活から気を付けて欲しい」
MC富樫「沖縄は野草がたくさんありますよね!以前ゲットウを食べた際にショウガ科だったので体がとても温まった」
高山さん「沖縄のおばあちゃんは野草のことよく知ってるから、私もアドバイスをもらうことがあります、タニシをみそ汁にすると体が元気なるとか」
MC久高「野草レシピ本とかも出版されているんですよ!」
横山さん「観光客と地元住民が一緒に健康になれる仕組みが必要、医療に特化したデバイスで明日必要はないと思います、例えば野草をスキャンして料理を提案する機能だったり、健康データと連携してできることもたくさんある」
志良堂さん「高齢者が持ってる知識を今後に残さなきゃいけない、例えば学生さんにアルバイトとしてデータをデジタル化してもらうとか、食や文化を残すために」「伝承が途切れる怖さが今の日本にはある、知識を残すのがデジタルの強みだと思います」
「インバウンドや観光活性化につながる医療について」一言
高山さん「観光客を守る前に、沖縄に住む1万5千人の在留外国人に対してきちんと医療を提供することが重要、行政にも協力してもらい日本人と外国人の医療の格差をなくす取り組みが大切です」
横山さん「離島の医療を守る取り組みをしてるため質は高い、沖縄の医療経験を活かして日本の医療を世界に輸出することができる、それが安全に観光客が来てくれることに繋がります」
志良堂さん「まずは医療従事者が医療に従事することができるベースを作ることが大切、人口減少と高齢化に対応するための仕組みを作り、テクノロジーだけでなく、人間中心の仕組みを作っていくことが必要」
インタビュアー小川「デジタルだけでなく、生活に馴染んだ地域観光を実現したい!それが観光客にも住民の皆様の幸せにつながる」
毎週火曜日18時から19時、
MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!
インタビュアー小川 智也について
MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。
MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。
国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。
MRTサイト:https://medrt.co.jp/
Commentaires