紛争地に届ける支援のカタチ〜若者の未来を取り戻すチカラ〜
- harunakawakami
- 6月17日
- 読了時間: 7分
FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」2025年6月17日(火)の放送は「紛争地に届ける支援のカタチ~若者の未来を取り戻す対話のチカラ~」について、NPO法人アクセプト・インターナショナル コミュニケーション局長 山﨑琢磨さんをお招きしてディスカッションをしました。

テーマ:「紛争地に届ける支援のカタチ~若者の未来を取り戻す対話のチカラ~について」
MC久高「アクセプト・インターナショナルはどのような団体でどんな活動をされていますか?」
山﨑さん「現在は世界中のテロや武力紛争の解決を目指して活動をしています。解決のためにアフリカのソマリアという地域や中東のイエメン・パレスチナ等で、最前線で活動している日本で唯一の団体です。」
MC久高「命の危険を伴う活動をされていますよね。この活動をしようと思ったきっかけは何かありますか?」
山﨑さん「慶応ボーイになりたくて慶応大学に入学したものの、入学して1週間後にひき逃げに遭ったことがきっかけです。全てから取り残される経験をした中で死を意識するタイミングがありました。その中でせっかく助かった命を良いことに使えないかとぼんやり考える時間がありました。その他にも今思い返すと幼い頃から戦争に関しては聞かされることがあったなと思います。」
MC久高「入学して一週間でひき逃げに遭うことってなかなかないことですよね。ダンディ、お医者さんとしてひき逃げに遭う人ってどれぐらいいます?」
インタビュアー小川「あまり聞いたことはないですが、僕も小さい頃にひき逃げに遭ったんですよ。そんなに命に関わるぐらいの重篤な状況ではなかったので軽い怪我で済んだのですが、あまりないですよね。」
MC久高「アクセプト・インターナショナルの事業に携わる中で、衝撃というかショックを受けたことはありますか?」
山﨑さん「まず活動についてなのですが、テロや紛争の解決を目的としています。紛争地には様々な背景から戦闘員になってしまった子どもたちや若者たちがいます。
団体名にもなっていますが、こうした子どもたちや若者を“受け入れる“とか“受け止める”という意味の『アクセプト』という姿勢を大事にしています。
彼らがその武装勢力からどうにかして抜け出して適切に社会復帰できるような支援を行っています。
彼らとの対話を通して背景を聞くと実は強制的に入れられましたという人も多いです。拒否ができない環境や自分の家族が紛争の中で命を落としてしまったという“憎しみ”から加入している背景があります。傍から見ると「テロリストだ」と思われるかと思いますが、実際にそこにいるのは同じ人間であり、それぞれに家族がいることを学びました。
彼らの可能性を活かせるような支援をしていく中で心動かされる部分もあります。この部分が、私自身が活動に関わっていく上ですごく大きなモチベーションになっています!」
MC久高「活動の中で特に印象に残っているエピソードはありますか?」
山﨑さん「例えば今度は自分が今武装組織に入ってしまっている人の“ロールモデル”に自分がなるんだと言って、色々な職を取るために頑張っている人もいれば、今度は自分が国を守る側につくということで、軍に就職した人もいます。その他にもギャングだった人が紆余曲折を経て映画俳優の仕事に就きました。一時的にNetflixにもでていた映画で、それがすごく良かったです。
私達が大事にしているのは、犯罪者が更生するとか彼らの認知が歪んでいたから矯正してやろうみたいな発想ではなく、どちらかというと過去のすごく複雑な背景や持っている可能性を引き出せるような取り組みを行っています。
やはり当事者だからこそ言えること・やれることがあると思っていて、まさにその一つの例が映画に出演していることだと思います。現地の社会課題の啓発のために自らが啓発する立場に回っている人が多くいて、このようなことが、私が日々活動をしている中のやりがいですね。
つまり社会にとってマイナスだった人がゼロに戻るんじゃなくてプラスになるみたいな。マイナスが減ってプラスが増えるんです!」
インタビュアー小川「山﨑さん自身はそういった現場を肌で感じられて、数多くの現場に向かわれていると思いますが、紛争とか過激化の背景にはどういったものがあるかとお考えですか?」
山﨑さん「強制的にとか憎しみ以外のものでいくとお金欲しさに入る人もいます。日本でも最近闇バイトのようなニュースが出ていたりすると思いますが、高い給料に誘われて行った先がもう実は軍事キャンプで、軍服を渡されてもう逃げられない・逃げたら殺すみたいな話は結構聞いたりします。
これらを広くいうと『貧困』みたいな話もなってくるでしょうし、教育の部分ではそこまで識字率も高くありません。
他方でもう少し広く言うと、なぜアフリカであんなに紛争が多いのかと感じられた事があると思いますが、その背景にはどうしても見逃せない大きな影響として植民地化の歴史があります。こういった点についても考えていく必要があると感じています。」
MC久高「医療とか教育・就労の面ではアクセプト・インターナショナルさんが現地で協力体制を取られているんですか?」
山﨑さん「我々は医療従事者ではないので専門的なカウンセリングというのは医療者にやってもらうために必要に応じて派遣しています。宗教的な話でいうと、我々はイスラム教徒の団体でもないので現地の指導者に教育を仰ぐことを大切にしています。
職業訓練についても、大工さんのスキルや裁縫・電気工事等については外部から先生を呼んできてやっています。これに関しては職業訓練を受けた対象者が卒業した後に先生に回るというのを意識しています。
ようやく最近サイクルが回り始めていて、各国で先生になる人達が徐々に増え始めています。」
MC久高「ぶっちゃけ、嫌になって手放したくなることはないですか?」
山﨑さん「実は何度もありました。その度に持ち返している感じです。どうしても一朝一夕にはいかない課題ですし、それこそ対象者だけでなく現地の政府の人から心無い言葉を受けることもあります。一時期対象者とのコミュニケーションの齟齬で逆上されてしまって、脅迫の電話が鳴ることもありました。」
MC久高「辛さプラスその怖さもあるんですね。」
インタビュアー小川「これだけストレスフルな現場に入っていらっしゃる山﨑さんご自身のメンタルをいかに維持できるか・健康的な状況を維持できるかがすごく大きいと思います。」
山﨑さん「ここまできたらやるしかないでしょうと思っています。
私たちが大事にしているのは“必要だけどもなかなか誰もができないところをやるんだ!”という姿勢です。そういう意味では自分としても使命感がありますし、“人に俺はやるんだ”みたいなことを言っているのでそうやって自分を鼓舞してきました。
これからも諦めずにこの活動を続けたいなと思っています。」
インタビュアー小川「山﨑さんが取り組まれていることは社会的な意義、国際紛争とか様々な形で広がりがあると思いました。
ぜひいろんな意味で日本だけでなく海外、そして民間だけでなく政府にも広げるそしてそれを伝えるということをより山﨑さんが中心となって活動してくださることが本当に意味のあることなので是非伝え続けていってほしいです。
そして健康に気を付けて頑張ってほしいです。」
MC久高「山﨑さんから日本社会で特に若者に伝えたいことはありますか?」
山﨑さん「そうですね。新しい世代だからこそ過去の継承に加えて今こう世界で起きていることへの問題意識とかアクションに照らし合わせてそういったアクションが増えるといいなと思っています。日本だから沖縄県民だからできることを一緒にやっていきたいなと感じています。」
毎週火曜日18時から19時、
MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!

インタビュアー小川 智也について
MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。
MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。
国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。
MRTサイト:https://medrt.co.jp/
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