FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」 2024年5月21日(火)の放送は「人手不足の介護をサポートするDX連携について(前半)」について、株式会社ライフシフト 代表取締役 嶺井 政哉さんをお呼びしてディスカッションしました。
テーマ:「今の介護現場の現状とDXの活用について」
ご家族が介護施設を運営されているという、嶺井さん。人が"生きる証"を深堀していきたいとのことですが、このお仕事を始めようと思ったきっかけを教えてください。
嶺井さん「家族が運営しており、結婚をして施設を妻に引き継いだのですが、その際に書類作業の多さを知り、IT化やDX化に取り組まないといけないと気付いた」「DXとはデジタル技術を活用してイノベーションを起こしていくという意味の他に、競争率を高めるという意味もある、そもそも介護に競争は必要か?と思ったので色々調べました」
MC富樫「峯井さんが取り組まれている介護DXはロボットなどではなく、ケアマネさんや現場の職員さんたちが紙で取り組んでいる作業をシステム化し、現場の皆様が働く時間に集中できるような環境づくり(DX)に取り組まれているんですよね?」
MC久高「そもそも介護現場で紙にはどういった情報を残してるんですか?」

嶺井さん「紙で残しているものは2種類あって1つは計画立てをするものです、要介護度が認定された後の市役所からの情報をもとに、こういったことが必要では?と考え計画立てていくものです、2つ目は実行したものを記録として残すものです、体調の変化などの記載も必要なので、基本すべての情報を紙に記録しています」
MC久高「手書き記録になるとお1人どのくらいの時間を要すんですか?」
嶺井さん「計画の部分でだいたい4時間くらいかかりますね、担当のケアマネさんは多くて30人分ほどの入居者さんを見ているので、月86時間ほどは事務作業になってしまいます、しかし、DXを活用して症状などをAIに分析させることで5分くらいで作れるようになり、負担は大きく減りました、短縮できた時間を使ってもっと人と人同士の対話の時間にあてて欲しいと思ってます」「ミッションはPCではなく、人と向き合える介護の実現を目指しています」
MC富樫「介護DXというと"人が介入しなくなるの?"ってイメージがあったけど、逆なんですね!」「人が幸せに”生きる証”も大事になさってるんですよね?」
嶺井さん「父が亡くなった際にそのような気持ちがでてきました。”生きた証”を残すというのはビジョンとしてはあるけど、まだ全体像は見えていません」
「人が亡くなる時は亡くならないでほしいという気持ちがあるので、"どんなことが幸せだった?"って死が目前としているようで聞きにくい、なので亡くなった後に、聞いとけばよかったと後悔して、聞いていたら前向きに過ごせたかもなと思うようになった」
「私自身、人生の全部を録画するって発想が前からありましたが、調べたら『マイライフビッツ』(MyLifeBits)というゴードン・ベル氏が指揮をとっているプロジェクトが結構前からあって、頭などにカメラを付けてビデオ記録し、子孫などに自分がどのように過ごしていたかを残すことができるというものです」
MC久高「すごい!両親が出会った瞬間とかも見てみたい!!」
MC富樫「クラウドなどに一旦全部保存して、残したいものだけを残せるって機能があったらいいですよね」
嶺井さん「施設の中で自分はその場にいれないけど、ヘルパーさんがどんなことをしてくれてたのかも見たい、今の介護現場は写真をLINEで送ってくれたりはするけど、全ては見えない、一緒に取り組めば介護DXにも繋がりそう。事務作業を短縮して、人と関わる時間が増え、家族にも伝わる、それが本当のDXだと思います。」
お父様の他界とアプリを作りたいという気持ちに繋がった経緯を教えてください
嶺井さん「父は働き者でまじめな人で、家族の為に一生懸命になってくれる人でした、結婚して介護の現場で働いている人を見たら、お父さんの姿に繋り、何かしてあげなきゃと思いました、働き者でまじめな人が報われて欲しいという想いから、介護現場をサポートできる取り組みを始めました」
MC富樫「介護領域を超えて、緩和ケア、病院といった場所でも活用できる世界になったらいいですね」
テーマ:災害が起きた時に介護のデジタル化がどのように貢献できるのか
最近は災害も多く、能登半島地震の被災地では、介護サービスが提供できない施設もいくつかあり、在宅介護に急遽変更した事例もいくつかあったようです。そういった際に、もともと取っていたデータ等を活用できればいいですよね。沖縄でも最近地震などが多いので、蓄積したデータが介護などに利用されると安心ですね。
では、現状沖縄での介護DXの取り組みは進んでいるのでしょうか?
嶺井さん「地震に関しては、DXを活用できていないのが現状です、しかし方法としては、その人のきっかけになるものが体に身についているといい、例えば、"ウェアラブルデバイス"(*1)を着用していてくれると活用ができます、位置情報などが把握できるものだと救急の方も助かりますしね」「介護現場でも災害、感染症への対策は研修を受けることが必須になりました、そのため災害などへの対応は注意深くしています」
「国が進めている"ケアプラン連携ステム"というのがあって、今は計画書などを事業所からケアマネ担当さんにお送りする場合、紙でのやりとりなんです、そういうのを変えていこうという流れもあるから、いい方向に進んでいると思います。怖がってやらないと進化が遅れてしまうので、意見も言いながら向上していけたらいいなと思ってます。」
(*1) ウェアラブルデバイスとは、手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスです。代表的なウェアラブルデバイスの例として、腕時計のように手首に装着するスマートウォッチ、あるいはメガネのように装着するスマートグラスが挙げられます。
「人手不足の介護をサポートするDX連携について」一言
嶺井さん「人手不足ではありますが、人がやらなくてもいいところはAIなどに置き換えて、時間を確保していくことがますは大事、競争するって意味もありますが、人と人が向き合える環境が作れたらいいなと思います」
インタビュアー小川「デジタルというと、デジタルに詳しい人が使うものと思われがちですが、どなたでも簡単に使うことができるアプリケーションこそが、国籍や年代、経験を問わず、人手不足の医療や介護を解決するのではと期待しています」
毎週火曜日18時から19時、
MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!

インタビュアー小川 智也について
MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。
MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。
国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。
MRTサイト:https://medrt.co.jp/
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