ぬちまーす号 本格始動
- harunakawakami
- 3月18日
- 読了時間: 8分
FMうるま「OKINAWA FUTURE INNOVATION」 2025年3月18日(火)の放送は「ぬちまーす号 本格始動」について、MRT株式会社 代表取締役、FMうるま インタビュアー
小川 智也さんとMRT株式会社 取締役、(一社)オール・ニッポン・レノベーション 代表、FMうるま MC富樫 泰良さんをお招きしてディスカッションしました。

テーマ:ぬちまーす号について
MC久高:「今日からこの番組を聞き始めた方のために、『ぬちまーす号』とは何かを改めて教えて下さい。」
MC富樫「『ぬちまーす号』は、ホテルや宿泊施設などの滞在先で診療が完結できるサービスです。沖縄の言葉で『命』を意味する『ぬち』と、『Mobility as a Service(MaaS)』を組み合わせて名付けられました。医療機器を積んだ車両が患者さんのもとへ伺うというモデルです。車両には12誘導心電計から血圧計、パルスオキシメーターなど様々な医療機器を積んでいます。
現在、多くのホテルからご依頼をいただいていますが、このサービスが生まれた背景には、沖縄県では夜間・休日に機能している『一次救急』がほとんどないという深刻な問題があります。
本来、医療法に基づき、市町村などの基礎自治体は夜間・休日にも一次救急を提供しなければなりません。一次救急とは、入院や手術が必要な二次・三次救急とは異なり、比較的軽症な患者さんを診る医療です。例えば、喘息の発作、インフルエンザやノロウイルスの疑い、蕁麻疹といった症状がこれにあたります。」
MC久高「やっぱりそうなんだ。沖縄県民は、夜間に診療所がほとんど開いていないのが当たり前だと思っているはず。」
MC富樫「本来であれば、市町村が当番制で診療所を開けたり、役場の隣に夜間休日診療所を設置・運営したりする必要があります。しかし、沖縄県で『一次救急の設置責任が基礎自治体にある』ということ自体の認知度が低いのかもしれません。県外では、広報誌などで夜間休日に対応している診療所や薬局の情報が全戸配布されるのが一般的です。」
MC久高「そうなんだ。沖縄では夜は我慢するか、救急外来に行くしかないというイメージがある。」
MC富樫「その通りです。そのため、頭痛や鼻血といった軽症の症状でも、夜間の救急外来に行ってしまう方が非常に多いのです。夜間の救急外来、つまり二次・三次救急を担うのは、中頭病院や中部徳洲会病院、県立中部病院といった大規模な病院です。しかし、日本の医療システムでは、200床以上の大病院に紹介状なしで軽症の患者さんがかかることは推奨されていません。なぜなら、本来の役割である重症患者の救命を逼迫させてしまうからです。一次救急がないために二次・三次救急に行く方が多いのですが、実はその際にはペナルティとして『選定療養費』がかかります。これは健康保険の3割負担とは別にかかるもので、全額自己負担となります。」
MC久高「例えば鼻血で大病院に行っても、その費用がかかる?」
MC富樫「はい、かかります。沖縄県内の相場は7,000円から7,700円ほどで、東京の日赤病院などでは11,000円になることもあります。これは法律で7,000円以上徴収することが義務付けられており、『軽症の方は来ないでください。それでも来るなら選定療養費がかかりますよ』という制度なのです。費用がかかるだけでなく、軽症の患者さんは3〜4時間待たされることも珍しくありません。救命救急を行っている病院では当然、重症患者が優先されます。このように、沖縄には『一次救急がない』という問題と、それによって『二次・三次救急に軽症の患者が殺到してしまう』という二つの問題が存在します。そこで、この状況を解決するために『ぬちまーす号』が生まれました。特に観光客の皆さんは、土地勘がなく、体調不良や飲酒などで運転ができない状況も多いでしょう。タクシーで基幹病院まで行くと往復で1〜2万円かかってしまうこともあります。」
MC久高「リゾートホテルからだと、どこの病院も遠いもんね、、。」
MC富樫「そのタクシー代に加えて、選定療養費、さらに保険診療の3割負担がかかります。『ぬちまーす号』は目安として29,200円の費用がかかりますが、大病院でかかる費用総額と比較すると、決して高くはないのです。体調が悪い時に、冷たい病院の硬い椅子でいつ呼ばれるかわからないまま待つよりも、ホテルで待機できる方がずっと良いはずです。特にご友人やご家族と一緒ならなおさらでしょう。こうした理由から、『ぬちまーす号』をご利用いただく方が増えています。
このサービスは現在、自由診療で提供しています。現行制度では、看護師が訪問し、医師がオンラインで診療を行う場合の診療報酬が非常に低く、事業として成り立たせるのが難しいからです。しかし先日、岸田総理が国会演説で「医療MaaS」を取り上げ、公的資金で支援していく必要性について言及されました。」
MC久高「それは嬉しいニュース!」
MC富樫「はい。特に離島やへき地も同じ課題を抱えているため、国がサポートするという意思を示してくださったのは非常にありがたいことです。診療報酬での反映になるか、運行費の補助になるかは分かりませんが、良いニュースだと感じています。ただ、私がなぜ民間でこの事業を進めているかというと、その方が動きが早いからです。先日、大同火災海上保険さんとの連携が始まり、OTSレンタカーなどを利用する海外からの旅行者が加入する旅行保険に、『ぬちまーす号』のサービスが組み込まれることになりました。」
MC久高「始動してまだ2ヶ月経たないくらいですよね?スピードで道が拓けていって、人もどんどん繋がっていってすごい!」
MC富樫「ありがたいことに、この事業の社会的意義を理解してくださるホテルや企業の皆様が協力してくださっているおかげです。」
MC久高「みんな必要だと感じていたからこそ、協力したいという気持ちが広がっているんだよ!」
MC富樫「しかし、もどかしい部分もあります。実は、非常に協力的なホテルがある一方で、全く連携が進んでいないホテルもあります。また、ある協力的なホテルのフロントの方にヒアリングした際、『頭痛を訴えるお客様を大きな病院にご案内しました』と聞き、大変残念に思いました。軽症の場合は、かかりつけ医や診療所に行くべきであり、夜間・休日にそれらが機能していない沖縄では『ぬちまーす号』という選択肢があることを、もっとホテルの皆様にご理解いただきたいのです。ある救急医の先生は、『心臓が止まった患者の蘇生をしている隣で、観光客が鼻血で来た。これでは救える命も救えない』とおっしゃっていました。ホテル側にも、軽症の患者を安易に救急外来に紹介することが地域医療を逼迫させるという社会的責任を感じていただきたいです。」
MC久高「救急外来では、患者さんの症状の重さに極端な差があるよね。本当に苦しんでいる方もいれば、比較的元気そうな方もいて…。」
MC富樫「ぜひこのラジオをお聞きの方には知っていただき、『ぬちまーす号』を選択肢の一つとして考えていただきたいです。特に海外の医療保険に加入されている方は、帰国後に請求すれば実質無料で利用できるケースがほとんどです。言葉の壁がある中で病院へ移動する不安を考えれば、ホテルで看護を受けながら待機できるのは、これ以上ないほど安心なはずです。私たちの医療サービスは、ただの医療行為ではなく、『日本での思い出の一部になる』と考えています。丁寧な対応や接遇を心がけ、海外の方にとって日本の医療が素晴らしい思い出となるよう努めています。処方薬が必要な場合も、すこやか薬局さんと提携し、薬剤師さんが服薬指導の上、お薬をお届けする仕組みも整っています。周りにホテル関係者や観光関係者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ『ぬちまーす号』のことをお伝えいただきたいと思います!」

テーマ:ぬちまーす号の現状と未来について
富樫さん「大同火災海上保険さんとの連携が行政より先に民間で実現できたことを、私は誇らしく思っています!」
インタビュアー小川「あの記者発表の場に多くの民間の方が集まってくださり、ああいった機会を設けられたのは本当に良かったですね!自治体の皆様も非常に関心を持ってくださっており、『こういった取り組みは必要だ』と感じてくださる方が増えているのは、とても嬉しいことです。」
MC富樫「もう一つ、私たちのプロジェクトには『有事(災害時)を起点として、平時から備える』という考え方があります。災害時専用の医療MaaSを準備するのは予算も運用も大変ですが、『ぬちまーす号』は日々稼働しているため、災害が起きても普段通りのオペレーションで避難所などに向かうことができます。追加のコストもほとんどかかりません。台風や大規模災害、停電時にも活躍できるのです。10年に一度と言われるパンデミックに備えるという意味でも、非常に有効だと考えています!」
MC富樫「最後にダンディさんが描く医療MaaSの未来のビジョンについてお聞かせください。」
インタビュアー小川「医療MaaSは、新しい医療提供の形だと考えています。オンライン診療を活用することで、日本の強みであるきめ細やかで適切な医療を、場所を選ばずに提供できます。現在、海外でも医療MaaSに挑戦していますが、今後は日本だけでなく、世界中の方々にこのサービスの意義を知っていただき、健康を守る予防医療の分野にも発展させていきたいと考えています。」
MC久高「沖縄で生まれ育ったわけではない泰良とかダンディが、沖縄のために活動してくださっていることが本当にありがたい!私たちうちなーんちゅ(沖縄の人)も頑張らないといけないなと思います!」
インタビュアー小川「沖縄の方々は本当に温かく、新しい取り組みにも協力的で、私たちも非常に活動しやすいです。皆さんの温かいサポートが何より心強いです。本当にありがとうございます!」
MC久高「これからもよろしくお願いします!」
毎週火曜日18時から19時、
MRT presents OKINAWA FUTURE INNOVATION、次回もお楽しみに!

インタビュアー小川 智也について
MRT株式会社の代表取締役兼、現役医師。
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターなどの経験を経て2011年にMRT入社。
MRTは医療人材プラットフォームを展開し、単発非常勤医師紹介では日本最大級のシェアを誇る。
国内初の遠隔診療(オンライン診療)サービスも開始。
MRTサイト:https://medrt.co.jp/



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